0人が本棚に入れています
本棚に追加
「大都市を狙う?」
「そうだ。でないともう持たない」
ルリが深刻そうに言ったのは、食料不足とガソリン不足。そして、武器の調達が必須だという事。
確かに、今の現状は誰がどう見ても分かる程にカツカツだった。でも大都市は敢えて狙わなかった。
それは危険が伴うから。しかしそうも言っていられない状況にまで落ちたのだ。
「……分かった。それしかない。でも非戦闘員は離れた安全な場所に」
「ああ、それが良い。メンバーは俺、ヒスイ、カク、アイ。他の戦闘員には守りを固めてもらう」
ルリの提案に皆が頷き、それで行く事になった。
私が探索メンバーに加われた事が幸運だと思うべきだろう。これで大義名分、みたいなものが出来たんだから。
「明日は大仕事だ、全員しっかり休んでおくこと」
「はーい」
その場は解散となり、休む事になった。勿論、警戒も怠らないが。休む事、だと言われても全然眠れなかった。明日は私の命日だ。
皆を守って命を落とせたら、とは思っていた。でもそんなの無理だ。ヒーローみたいに格好よく散る事が出来たらな。でも一戦闘員として、命を懸けて皆の生きる糧を取りに行って散れたら良いじゃないか。
戦闘員として命を懸けるのは良い。でも、と思うところがあった。死は、別れを意味する。好きな人と別れなければならない。
それだけが、心残りだった。
最初のコメントを投稿しよう!