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店長が、「それじゃ、あとは任せるから、よろしくね」と言って、スタッフルームへと去っていく。
心臓の音がせわしない。お店のレジに立っているということにも、男の子とふたりきりだということにも緊張して、私は銅像のように固まってしまった。前へ向き直った彼の斜めうしろで、メモ帳を持つ手にいっそう力がこもる。
「……なんで突っ立ったまま?」
横顔だけをこちらに向けたその男の子は、低い声でそう言った。
……あれ?
見覚えのない背格好なのに、その声には聞き覚えがあり、私はその横顔をじっと見つめる。
「姫野って、あの姫野だよね? 中学一緒だった」
「…………」
記憶を探っていく中で、思い浮かんだ人物。信じたくない私は、一気に血の気が引いていく。
あぁ……嘘だ。もう会いたくないと思っていた中学校の同級生。しかも、よりによって、一番会いたくなかった、あの……。
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