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「さっき未練って聞いたけど、未練の種類が違うって言えばいいのかな……。恋人や夫婦としてほしい人ではないのよ。農家の嫁になる気もないし。浅田も多分同じこと思ってるわ。根本的に親友止まりなんだと思う、私たち」
テーブルにグラスを置いた玲子が、夏輝と目を合わせた。
「――って言われてもやっぱり嫌よね? 夏輝ちゃん、顔に出てるわよ」
「え……」
玲子に言われて、眉間に深いしわを刻んでいたことに気づく。歯も折れそうなほど食いしばっていた。
「心配しないで。本当に浅田とはそんなふうにならないから。私には東城がすべてだし……。それに私が全力で誘惑しても、これっぽっちもなびかないと思う。浅田にはもう、お気に入りの子がいるみたいだから。でもあいつ、態度で表すの下手だからねー。ちゃんと伝えてるのかどうか……」
あら、と玲子が目をしばたかせた。
「もう、伝わってるみたいね」
嬉しそうに、うふふ、と笑う。
「夏輝ちゃん、顔に出てるわよ」
玲子に悟られまいと、顔が赤らむのを必死に制御していたが、あっさり見抜かれてしまった。でも玲子の明るいその表情を見ていたら、恥ずかしいより嬉しい方が勝って、目頭が熱くなった。
いろいろあったけど、玲子さんとはもう大丈夫だ。これからも、ずっと。
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