第一章 目隠しは誰がした?

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 ケルト十字――。浅田のカードの並べ方を見て、夏輝はその言葉を思い浮かべた。  最初に小さな十字を作るように、二枚のカードを重ねて置く。その周りに四枚のカードを置いて、大きな十字を作る。最後にその十字の右側へ、縦一列に四枚置く。計十枚のカードを使うその並べ方はケルト十字と呼ばれるスプレッド(展開法)で、タロット占いの指南書には大抵載っているポピュラーなものだ。 「げっ、ちょっと待って!」  並べ終わった十枚のカードを見て、夏輝は慌てた。 「これっ、素人の私でもわかる! 絶対ダメなカードでしょ!」 「ほう。何でそう思う?」 「だってほら、〈悪魔〉に〈死神〉に〈塔〉ですよ? 誰が見たってこれ悪いこと起こるカードでしょ!」  自分で占えたら便利だろうと、夏輝も本を読み漁ったことがある。結局使いこなすことはできなかったが、それでもいくつかのカードは意味を覚えている。というよりこの三枚は絵を見ただけで不吉なことくらい容易にわかる。〈悪魔〉や〈死神〉はその名前からして不吉だし、〈塔〉も旧約聖書の『バベルの塔』をそのまんま表した、雷に打たれている塔の絵だ。     
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