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「あらやだ、ステキな話」
玲子が両手を合わせて喜ぶ。
「はっ! でも占いにかこつけて『俺と付き合えるぜ』なんて言われても困るし!」
「浅田は多分言わないと思うわよ」
玲子の軽やかなツッコミも耳に入らない。
「てことはあのとき、浅田さんはわかってたの!? 『こいつ、俺と縁がある』ってわかってたの!? 何かずるくない!? それずるくない!?」
「恥ずかしくて言えなかっただけだと思うわよ。――あら」
玲子の視線が、夏輝のやや上へ向いた。その直後、夏輝の頭に何かがのしっと乗った。
「随分にぎやかにやってんじゃねえか」
「残念。これからおもしろくなりそうだったのに」
「げっ、浅田さん!?」
頭に乗ったのは、浅田の大きな手だった。
「浅田、顔が引きつってるわよ」
「お前が余計なこと言ってるからだ」
三人で小振りの丸テーブルを囲んで座る。
「話は済んだのか?」
「粗方ね」
短く応えて、玲子がマルガリータを一口飲んだ。
「じゃあ、浅田も来たことだし……。話があるの」
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