第四章 近づく〈塔〉

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「あらやだ、ステキな話」  玲子が両手を合わせて喜ぶ。 「はっ! でも占いにかこつけて『俺と付き合えるぜ』なんて言われても困るし!」 「浅田は多分言わないと思うわよ」  玲子の軽やかなツッコミも耳に入らない。 「てことはあのとき、浅田さんはわかってたの!? 『こいつ、俺と縁がある』ってわかってたの!? 何かずるくない!? それずるくない!?」 「恥ずかしくて言えなかっただけだと思うわよ。――あら」  玲子の視線が、夏輝のやや上へ向いた。その直後、夏輝の頭に何かがのしっと乗った。 「随分にぎやかにやってんじゃねえか」 「残念。これからおもしろくなりそうだったのに」 「げっ、浅田さん!?」  頭に乗ったのは、浅田の大きな手だった。 「浅田、顔が引きつってるわよ」 「お前が余計なこと言ってるからだ」  三人で小振りの丸テーブルを囲んで座る。 「話は済んだのか?」 「粗方ね」  短く応えて、玲子がマルガリータを一口飲んだ。 「じゃあ、浅田も来たことだし……。話があるの」 .
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