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グラスを置いた玲子の雰囲気が、急に変わった。今までの朗らかさが表情から消え、泣きそうな目をしている。――あのときみたいだ。ホテルの前でやさしく突き飛ばされたときと同じ、もう会えないみたいな――
「夏輝ちゃんと会うの、今日で最後にするわ」
「玲子さん!?」
「浅田とも会わない。東城の手綱もしっかり握るから、だからもう心配しないで」
「嫌です! どうしてそんなこと言うんですか?」
何でそうなるの? そんな……。
「私がいるといろいろ……上手くいかないと思うから。ずっとそうだった。そうでしょ? 浅田」
浅田は腕組みして黙って聞いていた。
「浅田さん、何とか言ってください!」
「……まあ、今まではそうだったな」
「ちょっ、浅田さん黙ってて!」
「お前な……」
どうしよう、何て言って止めたらいいの? 玲子さん本気だ。今ちゃんと説得しないと、本当に私たちの前からいなくなってしまう。
「浅田にも、長い間迷惑かけたわ」
腕組みしたまま、浅田が天井を見上げる。
「……そうなるのかな」
動揺する夏輝とは逆に、浅田は至極落ち着いていた。
「でもよ、玲子。そう早まらなくてもいいんじゃないか?」
「え?」
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