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「お前が迷惑な存在かどうかを判断するのは、俺じゃない」
「……どういう意味?」
「お前が勝手に決めることでもない」
浅田の視線が夏輝へ向く。つられて玲子も、夏輝を見る。
夏輝は――二人の会話など途中から耳に入っていなかった。険しい顔で、どうしたら玲子と離れずに済むか、そればかりを考えていた。考えているうちに、前に浅田が教えてくれた話を思い出していた。
浅田と別れたあと、玲子は浅田の新しい彼女たちと親しくなりたかった。でも会いに行ったら、ひどく嫌がられてしまったという話――
「……夏輝ちゃん?」
玲子が触れようと手を伸ばしたその瞬間、夏輝はその手を両手でわしづかみにした。
「……それって、お二人が別れたあとの、浅田さんの彼女さんたちですよね?」
「え……っ?」
「玲子さんがいると上手くいかないって失礼な考えで離れてったのは、浅田さんの元カノさんたちのことですよねって聞いているんです!」
玲子の手をつかむ両手に力が増す。
「あ、う……うん、そうよ……。夏輝ちゃん、落ち着いて。手が痛いわ」
夏輝の剣幕に玲子は圧倒されていたが、浅田は口元に笑みを浮かべていた。
「もう会わないという玲子さんの提案は、却下します!」
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