第四章 近づく〈塔〉

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 浅田に三人のことを占ってもらっていたら、どんなカードが出ていただろうか――。そんなことを、考えないわけじゃない。だけどそんなのはもういい。 「私、玲子さんとずっと友達でいられたらなって、……親友って、呼べたらいいなって、ずっと思ってたんです」  カードに何と言われようとも、私は玲子さんのことが大好きだし、絶対に失いたくないから。 「大人になってからの気の合う友達って、すごく貴重じゃないですか。縁を切っちゃうなんて、もったいないじゃないですか!」  だから、今、言わないといけない。今、全力で伝えなければならないんだ。 「私はこれからも、玲子さんと一緒にいたい」  夏輝は精一杯の笑顔を向けた。 「これは本心です。私の本当に本当の気持ちです。だから何も心配しないで。疑わないで。信じてください」  私は玲子さんのことが、こんなに好きだから。だから、だからどうか、玲子さんの不安が消えてなくなりますように。 「浅田さんだってきっと同じ気持ちです!」  どんな顔をして聞いているだろうと目をやると、浅田は腕組みして見守っていた。薄く笑みを浮かべていて、夏輝の背中を押すように、短くうなずいてくれた。  大丈夫。私たち三人は、やっていける。 「ね、また三人で会いましょう? 玲子さん」     
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