第四章 近づく〈塔〉

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 しれっとして言うと、浅田があからさまにムッとした。 「男前すぎて、苦労するだろうなって思います。浅田さんが玲子さんと初めて会ったときと同じ感想です。それ以上でも以下でもありません。他にご質問は?」 「……いや。よくわかった」  けろっとして言えたことに自分でも驚いた。もうすっかり過去の人なんだなあ、などとしみじみする。 「浅田さんこそ何考えてたんですか? 『玲子のウエディングドレス姿、きれいだなあ』とか?」  低い声で浅田のものまねをする。浅田はちらりと夏輝を一瞥しただけで、また正面に目を向けた。 「〈太陽〉」 「太陽―? ああ、いい天気でよかったですね」  空を見上げると、今日のよき日を祝福するように、太陽がさんさんと光を放っていた。 「その太陽じゃねえよ」  玲子たちを向いたまま、浅田がぶっきらぼうに答える。 「あっ、〈太陽〉って私のこと? やだっ、私のこと考えてたんですか? やだー。そりゃ私も今日は頑張っておしゃれしてきたけどー。やだもーっ」  騒ぐ夏輝に、浅田がしかめっ面をして腕組みした。 「……〈太陽〉逆位置」 「失礼なっ。ていうかやっぱ私のことじゃないですか。もー、素直に『今日はきれいだな』って言えばいいのにー。あ、『今日も』か」     
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