第四章 近づく〈塔〉

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 それが何だかとてもかわいく、愛おしい。 「やっと言ったね浅田さん」 「お前こそやっとわかったか」 「浅田さんがいつも一言足りないのよ。多いのも困るけど」 「お前本当うるせえっ」 「ねえ浅田さん」  腕に軽くしがみつく。 「……何だ」  浅田は一瞬驚いたようだが、嫌がりはしない。 「また占ってください」 「今度は何が知りたいんだ?」  夏輝はさらに腕を絡ませた。 「私たち四人が、末長く仲よくやっていくための心構えを知りたいです」 「四人?」  腕を組んでくっついているから、見下ろした浅田の顔がいつもより近い。 「東城さん入れたら四人でしょ?」 「はあっ!? 何で東城なんかと……っ」 「だって玲子さんのダンナさんだもの。これからは会う機会も増えるでしょ? 四人で一緒に遊びに行くかもしれないし」 「四人で遊ぶのはダメだ!」 「えー、浅田さん器小さいー。もう大丈夫ですって。仲よくやれると思うけどなあ」  頭上から浅田の苦悩するうなり声が降ってくる。 「〈太陽〉が本気出すとすげぇな……。いや、みんなまとめて円満にしてしまうパワーはもはや〈世界〉の域か?」 「そうだ! 浅田さんちで飲み会しましょ。飲んで、食べて、しゃべって、部屋数多いんだから、そのまま泊ま――」     
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