第一章 目隠しは誰がした?

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「ここは過去、現在、未来と時系列で問題の流れを表す。過去は今話した〈カップのナイト〉。いい男との出会いがあったが、現在は〈悪魔〉の逆位置、未来に〈死神〉の逆位置」  天地が正しく出たカードは正位置といい、絵が逆さまに出たカードのことを、逆位置という。逆位置になると意味が変わる――ということは夏輝も本を読んで知ってはいた。 「……悪魔に魅入られて、死神に殺されますか」 「〈死神〉が出たからといって、実際に死ぬわけじゃない。カードの絵をよーく見てみろ」  言われるがまま、よーく見てみる。そこにはドクロの姿をした死神が描かれていて、足元には恐らく死んでいると思われる人と、まだ生きている人たちがいて―― 「……あれ?」  意外にも、死神は白馬にまたがっていた。それに手に持っているのは大鎌ではなく、旗。 「背景もちゃんと見ろよ」  浅田に促されて目をやると、 「……朝日が昇ってる」 「よし」  背景の奥の奥、そこにはたしかに朝日が描かれていた。  夏輝の言葉に満足したのか、浅田が解説を始める。 「たしかに〈死神〉は、今までやってきたことが終わることを表している。でもきちんと終わりを迎えるってことは、そのあと何かが新しくスタートするって意味も持っている。そこが大事なんだ」 「救いようのないカードだと思ってたけど、違うんですね」     
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