14人が本棚に入れています
本棚に追加
/156ページ
この世の終わりのイメージしかなかった〈死神〉だが、明るいイメージもあったことは意外でしかない。
「ただ逆位置で出てるからな。終わりそうだけど終わらず、その状態で停滞、もしくは泥沼化……ってとこか」
「つまり今後もその人との関係が続くんですね」
東城さんとの関係が……。
「あるいは――」
「あるいは?」
うっかり浅田と目を合わせてしまう。
「終焉の兆し、とかな」
ビリッと背筋に電流が走った気がした。
「――今、どっちの未来に反応した?」
浅田がかすかに目を見開いた。
「え……、どっちって……」
「このままダラダラ関係が続くっていう未来と、関係を終わらせて人生再スタートする未来。どっちに気持ちが動いた?」
浅田がさらに強く、突き刺すように視線をぶつけてくる。
「べつに……どっちということは……」
怖い――。この人に体の内側まで見られそうで怖い。自分すら触れたくないものを、いとも簡単に取り出して、目の前にさらされてしまいそうだ。
はっきりと答えない夏輝に浅田は「ふうん」と短く言っただけで、それ以上追及はしなかった。
「まあいい。それがお前のちょっと先の未来だ。じゃあ一体何が終わるに終われないのかというと――ここだ」
浅田が、現在を表す〈悪魔〉のカードを持ち上げ、夏輝に絵を見せた。
最初のコメントを投稿しよう!