第一章 目隠しは誰がした?

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 この世の終わりのイメージしかなかった〈死神〉だが、明るいイメージもあったことは意外でしかない。 「ただ逆位置で出てるからな。終わりそうだけど終わらず、その状態で停滞、もしくは泥沼化……ってとこか」 「つまり今後もその人との関係が続くんですね」  東城さんとの関係が……。 「あるいは――」 「あるいは?」  うっかり浅田と目を合わせてしまう。 「終焉の兆し、とかな」  ビリッと背筋に電流が走った気がした。 「――今、どっちの未来に反応した?」  浅田がかすかに目を見開いた。 「え……、どっちって……」 「このままダラダラ関係が続くっていう未来と、関係を終わらせて人生再スタートする未来。どっちに気持ちが動いた?」  浅田がさらに強く、突き刺すように視線をぶつけてくる。 「べつに……どっちということは……」  怖い――。この人に体の内側まで見られそうで怖い。自分すら触れたくないものを、いとも簡単に取り出して、目の前にさらされてしまいそうだ。  はっきりと答えない夏輝に浅田は「ふうん」と短く言っただけで、それ以上追及はしなかった。 「まあいい。それがお前のちょっと先の未来だ。じゃあ一体何が終わるに終われないのかというと――ここだ」  浅田が、現在を表す〈悪魔〉のカードを持ち上げ、夏輝に絵を見せた。     
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