第一章 目隠しは誰がした?

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「……え?」  恐る恐る顔を上げる。浅田は、決して怒っている顔ではなかった。 「顕在意識――つまりお前が自覚している意識として出たカード、〈正義〉の逆位置。……お前は、今の関係が正当ではないことを、本当はわかっている」  浅田の指が移動する。縦に四枚並んだカードの、一番下。 「それからこの〈ソードの8〉。これはお前がこの件にどう向き合っているかを表している」 〈ソードの8〉――八本の剣が地面に突き刺さっている。それはまるで鉄柵のようにぐるりと一人の女性を囲んでいる。女性は目隠しをされ、体を縛られている。だがその縛り方はゆるく、少しもがけばすぐに解けそう。――さっきの〈悪魔〉と似ている。 「これは周りが見えていないことを表す。でもお前の場合は、見えていないんじゃなくて、自ら目を背けて、真実を見ようとしていないんだ」 「そんなこと……っ」  そんなことない、と反論する前に、浅田が再び〈悪魔〉のカードを夏輝の目の前に突き出した。現在の状況を表す、〈悪魔〉のカードを。 「実はこのカードも、お前が自ら目を背けてるって言っている」  カードが半回転され、天地がひっくり返る。     
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