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金曜の夜、仕事を終えた夏輝は、アジア風のこじゃれたバーのドアを開けた。南国にありそうな観葉植物越しに、カウンター席へ座る女性が見えた。待ち合わせしていた、葉月玲子(はづきれいこ)である。
「今日もいい女だなあ」
苦笑しながら玲子へ近づく。肩より少し長い髪には艶があり、腰はキュッとくびれ、長くて美しい脚を組んでいる。持ち上げたカクテルグラスまで脚が細くて長い。それを形のいい唇へ運び――優雅に飲み干してしまった。
「今日も酒強いなあ」
苦笑が深まる夏輝に気づかず、玲子は「マルガリータ、おかわりお願い」と男性店員に微笑んでいる。快く応じる男性店員にも、そこはかとなく色気が含まれているように見える。
「今日もモテてるなあ」
玲子に対する妬みや嫌悪はない。純粋にこの葉月玲子が好きだし、同じ女性として憧れていた。大人になってからの、しかも自分と馬が合う友達というのは、本当に貴重だと思う。
「あと一緒に生中もお願いしまーす!」
その声で玲子が振り向く。
「あら気づかなかったわ。お疲れ。先に始めてたわよ」
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