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にっこりと微笑む玲子は、三十一歳だと言っていたはずなのに――いや、だからこそと言うべきか、説得力のある輝きを放っていた。これはただ若いだけの女性には出せない、知性の輝きだろうと夏輝は思っている。
「お疲れ様です。玲子さん早かったですね」
簡単に挨拶を交わして玲子の隣に座る。
玲子は広告代理の仕事をしていて、同じ市街の印刷会社に勤めている。一年ほど前に仕事の関係で初めて会い、そのときにお互い一人で飲み歩く似た者同士であることが判明。すぐにプライベートでの付き合いが始まった。以来、こうやって時々待ち合わせて飲んでいる。
お待たせしました、とさっきの店員が生ビールの入った中ジョッキと、空のカクテルグラスを置く。細く長い脚の上に乗った円錐の縁には、粒の粗い塩がつけられていた。店員が微笑みながら、目の前でシェイカーからグラスにマルガリータを注ぐ。なみなみ注がれ、グラスの縁についた粗い塩が、一粒、二粒、白っぽい液体の底へゆっくり落ちていった。ごゆっくりどうぞ、などと品よく店員が言うのは、玲子がいるからだろう。
早速乾杯。マルガリータではグラスをぶつけ合えないので発声だけだが。
玲子はこぼれないようにゆっくりグラスを持ち上げ、一口飲んで置いた。夏輝はこれが一杯目なので、一気にのどへ流し込む。……といっても玲子のような酒豪ではないので、ジョッキの三分の一程度がせいぜいだが。
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