第一章 目隠しは誰がした?

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 どこから、誰のことから話すべきか悩み、夏輝はまず浅田のことを話した。 「出張先で知り合った生産者で、三十歳くらいの男の人なんですけど……。その人、占いをする人だったんです」 「へえ……。占いってどんな?」 「タロットです。浅田さんという方なんですけど、口は悪いし、ズケズケと人の心に土足で踏み込んでくるし……」  玲子は相槌を打ちながら話を聞いてくれた。 「本当に、ズケズケと……」 「踏み込まれちゃったのね。夏輝ちゃんが隠したかった部分に」  ジョッキを持つ手に力が入った。これから話すことを聞いても、玲子はまた今までどおりに付き合ってくれるだろうか。 「私、実は社内に……付き合ってるのか、そうじゃないのか、ちょっとわかんない状態の人がいて。すごくステキな人で、少し前から親しくしてくれて……。東城さんっていう……あっ」  うっかり実名を出してしまった。一応玲子とは会社同士の付き合いである。 「聞かなかったことにするわね、今の」  玲子もすぐに察してくれた。でも夏輝は首を横に振った。 「いえ、構いません。私、玲子さんのことは本当に……心から信頼してますから」     
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