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だから親身になって話を聞いてくれた玲子のことは、今までにも増して夏輝の中で大切な存在となった。
「私がタロットで占ってもらったときは、最初は遊び半分……っていうか、夏輝ちゃんの言うとおり本音を隠してたのよね。でも思いのほかえぐられて、隠してた部分をすっかりさらされてしまったの。あのときは参ったわー、本当……」
玲子がこんな表情をするのは初めて見た。少ししか顔をしかめていないが、その目にいつも湛えている余裕と輝きは、陰って見えた。だが次の瞬間にはいつもの玲子の顔に戻り、
「何かもう、その人に一生分の弱み握られちゃった感じ?」
グラスを持ち上げクスクスと笑っていた。
「玲子さんにそんなこと言わせるなんて、その人もすごいですね。私も会ってみたいかも」
玲子は目を細めてニッコリ笑うと、優雅にグラスを口に運んでマルガリータを一口飲んだ。
「夏輝ちゃん、もう一度その浅田さんって人と会った方がいいと思う」
「え……何でですか?」
あんな別れ方をして、正直顔をあわせづらい。
「だって占いの途中だったんでしょ? しかも運勢をよくする方法を授けようってときにとんずらしちゃったんだから。せめて最後まで話聞いてみたら?」
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