第一章 目隠しは誰がした?

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 二人声を合わせてグラスをぶつける。玲子も夏輝も、笑っていた。ずっと抱えていたモヤモヤしたものが、スッと消えていた。もちろん根源は夏輝の奥底に残っているものの、玲子に会う前と今では、その性質が変化しているように思えた。  ビールも一杯目より美味しく感じた。ビールの力だけでは足りなかった部分を、玲子が補ってくれたのだと気づく。 「あ、そっか……」  玲子に聞こえないようにつぶやく。この感情の正体が、今はっきりとわかった。 ――私に初めて、親友ができたんだ。  願わくば、玲子さんも私を親友だと思ってくれますように。 .
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