第二章 逆位置の〈太陽〉

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「多かったですか? 一応二人分のつもりなんですが。無理なら私食べますから」  冗談でも何でもなく、これは夏輝が食べる量の二人前だ。ただし普段はこんなに野菜を食べられない。これだけ新鮮なものをこんなに買っていたら破産してしまう。 「安心しろ、適量だ」 「よかった。はいこれ、冷やし中華のタレかけてくださいね。足りないと思うのでこっちのタレも使ってください。私好みに作ったのでお口に合うかわかりませんけど。じゃ、いっただっきまーす」  浅田は豪快に食べる夏輝をしばし見つめると、軽く吹き出した。 「何ですか?」 「お前、気持ちのいい食い方するな」  誰かにも似たようなことを言われた気がする。 「だってお腹すいたし、野菜もすごく美味しいし」 「そうか、それはよかった」 「街にいたら、これだけの質と量の野菜なんて食べられませんから」 「そうか、それは大変だな」 「こんなに野菜食べ放題で、今日はとっても幸せです」  そうか、と言う浅田は、箸で麺をすくうものの、なかなか口に運べないほど肩を震わせて笑っている。 「……どうかしました?」 「いや、何でも……」  と言いつつ、まだ下を向いて笑っている。 「ええと、野菜いっぱい使ってすみません……?」  なにかやらかしただろうかと、そんなことを謝ってみる。 「いや」     
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