第二章 逆位置の〈太陽〉

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「その男もけじめつけないでお前に近づいているなら、お前はあくまで浮気相手。愛人、二番目、一番の女ではない――」 「そんなに畳みかけないでくださいよ」  しかめっ面を作って、泣きそうになっていた顔の筋肉をほぐす。 「多分、相手もお前の気持ちわかってて近づいたんだろ」 〈ソードの7〉に目が留まる。カードの中の人物は、したり顔で剣を盗み出している。それは夏輝の心をまんまと盗んだように見えてならない。――私は、遊ばれていたのだ。 「さて、反省会も済んだことだし。早速お前の運勢を改善するための処方をしてやろう」  してやろう、と言われても、ケルト十字に目を向ければ〈悪魔〉、〈死神〉、〈塔〉といった黒いカードが連なっている。 「余命わずかと宣告されてる感じなんですけど。本当に私の運勢、変わるんですか?」  今のままでは恋愛も仕事も、どちらも楽しいものではなくなる。 「変わるんじゃない、変えるんだ」  当たり前のように言い放つ浅田へ、あの、と疑問を投げかける。 「そもそも運勢って変えられるものなんですか?」  今さらではあるが、そのへんの理屈をしっかり理解しておきたい。質問を受けた浅田は、「例えば」と右手でVサインを作って夏輝の目の前へ突き出した。     
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