14人が本棚に入れています
本棚に追加
/156ページ
はあ、とあきれてみせたのだが、浅田はいたって大まじめに話を続けた。
「タロットってのは結構融通がきくんだよ。占うテーマによって、各ポジションの意味を変えたっていいんだ。自分で新しいスプレッドを作ったっていい」
「そんな適当でいいんですか?」
「適当じゃない。融通だ。ただし約束事はある。占う前に各ポジションの意味をちゃんと決めること。それを後から都合よく変えないこと」
「だから信じるのは自分なんですね? 自分で決めたルールを厳守して、出たカードを読み取る」
そういうことだ、と浅田が対策カードを取って夏輝に見せる。
「俺はここに出たカードは対策だと決めている。どんなカードが出ても、このポジションに出たからにはそれがやるべきことだ」
ということは、悪いカードが出てもやるべきことなのか。例えば――
「〈死神〉が出たらどう読むんですか?」
「終わらせろ。そして再スタートせよ」
「なるほど。じゃあ〈塔〉が出たら、ぶち壊せってことですか?」
「そういうこと」
「じゃあ、〈死神〉が逆位置で出た場合は?」
「対策カードとして出た場合は、俺は正位置の否定として読むことが多いな。〈死神〉の正位置は『終わらせろ』だろ? その否定だから――」
「『終わらせるな』?」
最初のコメントを投稿しよう!