第二章 逆位置の〈太陽〉

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 はあ、とあきれてみせたのだが、浅田はいたって大まじめに話を続けた。 「タロットってのは結構融通がきくんだよ。占うテーマによって、各ポジションの意味を変えたっていいんだ。自分で新しいスプレッドを作ったっていい」 「そんな適当でいいんですか?」 「適当じゃない。融通だ。ただし約束事はある。占う前に各ポジションの意味をちゃんと決めること。それを後から都合よく変えないこと」 「だから信じるのは自分なんですね? 自分で決めたルールを厳守して、出たカードを読み取る」  そういうことだ、と浅田が対策カードを取って夏輝に見せる。 「俺はここに出たカードは対策だと決めている。どんなカードが出ても、このポジションに出たからにはそれがやるべきことだ」  ということは、悪いカードが出てもやるべきことなのか。例えば―― 「〈死神〉が出たらどう読むんですか?」 「終わらせろ。そして再スタートせよ」 「なるほど。じゃあ〈塔〉が出たら、ぶち壊せってことですか?」 「そういうこと」 「じゃあ、〈死神〉が逆位置で出た場合は?」 「対策カードとして出た場合は、俺は正位置の否定として読むことが多いな。〈死神〉の正位置は『終わらせろ』だろ? その否定だから――」 「『終わらせるな』?」     
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