第二章 逆位置の〈太陽〉

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「そう。終わりそうだけど、何とか食い止めろってことだ」  そっか、とつぶやきながら、夏輝の視線が未来のポジションに出た逆位置の〈死神〉へ向く。終わらせるな、か……。 「言っとくけど!」  浅田の声が思考を遮る。 「対策で出た場合は『終わらせるな』だけど、ここでは未来に出てるから読み方は変わるぞ。未来で〈死神〉逆位置、さらにその先の未来に〈塔〉が出てんだ。お前が不倫を終わらせなかったら、そのあと確実にトラブルが起こる。不倫を終わらせないことが悪い結果を引き寄せるんだよ。わかったか!」 ……わかったからあまり不倫不倫と言わないでほしい。でも今の話を聞いて、一つはっきりしたことがある。 「今の関係、やっぱり終わらせた方がいいってことなんですね」  ぽつりとつぶやいた直後、そんなつもりはなかったのに、いきなり大粒の涙がこぼれた。 「お、おいっ」  玲子と話して、既婚者とわかった以上もう付き合えない、東城の妻を傷つけるつもりはないと自分の口で言ったにも関わらず、いざ終わらせろと言われると、動揺する自分を思い知った。 「大丈夫です、わかってます。終わらせた方がいいのはわかってます。でも……」     
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