第二章 逆位置の〈太陽〉

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 苦笑する。やはり孤独の道は避けられないか。 「違う。この人物は一人でいるが、決して孤独じゃない。周りが信頼して応援してくれる。なぜならこの人物は、ちゃんと実力を身につけているからだ。――だからお前は、一人じゃない」  ドラマや映画で聞くと、なんてくさいセリフだろうと思っていた。でも孤独なときに言われると違って聞こえる。お前は一人じゃない――何て心揺さぶられる言葉なんだろう。 「お前、今の仕事楽しいか?」  唐突な質問に、ドキッと胸が高鳴った。 「もちろん、……楽しい、ですよ?」  浅田の目がギロリと夏輝をにらんだ。 「俺がお前んとこの取引先の生産者だってことは抜きで正直に言ってみろ」 「……浅田さんは、私が仕事を楽しんでいないとでも?」 「社内恋愛で上手くいってるならともかく、ゴタゴタしてるやつが仕事楽しいわけないだろ」 ……グッサリと胸に突き刺さる。 「別れた後も苦労するぞ。お互い社内にいるんだからな。それでも今の仕事、楽しんでやれるか?」     
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