第二章 逆位置の〈太陽〉

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 夏輝も負けじと繰り返す。 「出た、知ったかぶり」  浅田が苦い物でも食べたような顔をした。 「逆位置ならなんでもかんでも真逆なわけじゃない。〈死神〉と〈悪魔〉の逆位置は手放しでめでたい意味だったか?」  面倒臭そうに頭を掻いている。 「いいか、タロットってのは何層にも何パターンにも意味を解釈できるんだ。いいカード悪いカードってはっきり言い切れるもんじゃない。逆位置なら有無を言わさず悪くなるとか、真逆の意味になるとか、そういう単純な話じゃない。逆位置にもいろんな取り方があるし、そもそも一枚のカードにも長所と短所があるんだよ! 人間とおんなじだ! 一枚一枚に人格があると思え!」 「……はい、〈太陽〉さんごめんなさい」  肩をすくめて縮こまる。荒い鼻息が治まると、浅田は語り始めた。夏輝を表すという、逆位置の〈太陽〉について。 「〈太陽〉ってのは、絵を見てわかるだろうがかなりめでたそうなカードだ」 「はだかんぼが、白馬に乗って万歳してますね」  小さなヒマワリの冠を頭に乗せ、その左手はしっかりと赤い旗をつかんでいる。はだかんぼの後ろの壁の上には、少し大きいヒマワリが咲いている。そして壁のさらに後ろでは、大きな太陽が強い光線を放っている。     
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