第二章 逆位置の〈太陽〉

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「本来の〈太陽〉の力を発揮できていない、ってことだろうな」  すぐには理解できず、夏輝は小首をかしげた。 「カードの天地がぐるっとねじれて、〈太陽〉本来のエネルギーが素直に出ていないってイメージだ。お前らしさが発揮できていない。それがここでの逆位置の意味だ」  浅田が言った言葉の意味を咀嚼する。それは夏輝が今まで思い込んでいた逆位置の意味とは違っていた。 「それだけ? もっと不幸な意味なのかと……」 〈太陽〉はすばらしく明るいカードだ。それの逆位置だから、とんでもなく凶意を含んでいるものだと思い込んでいた。 「逆位置の読み方はいろいろある。今言ったエネルギーが素直に出てないという読み方。他には、人間の長所短所みたいな読み方。意志が強いことが長所だってやつも、度が過ぎればガンコだっていう短所になるだろう? 正位置と逆位置は表裏一体なんだ」  なるほど。そう考えるとわかりやすい。 「つまり、逆位置は意識次第で正位置になりえるということだ」  幼い子供に言い聞かせるような、やさしさを感じる声音だった。――ああそうか、と夏輝は思う。浅田は、ただ怒鳴っているだけの人じゃないんだと。 「じゃあ……私、正位置の〈太陽〉になれるんですか?」     
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