第二章 逆位置の〈太陽〉

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「なれる。この運勢が望むものでないなら、意識して正常化を図れ。そのためには〈ソードの8〉のままではダメだ」  周りが見えない、見ようとしない、目隠しをした女性。 「もう現実から目を背けるのはやめろ」  それは東城が既婚者だということを認めること。心のどこかで、そうじゃない、あの指輪はたまたまだよ、見間違いだよ、と言っている自分がいた。気をしっかり持っていないと、ずるずるとそちらへ流されてしまいそうになる。 「そして、〈ペンタクルの9〉になれ。そうすれば毎日が楽しくなる。その頃には、相手の男とどうなりたいかの答えも自然と出てるだろうし、たとえ相手の男と縁が切れても、寂しくははいだろう」  神々しいまでに金色に輝く、優雅な〈ペンタクルの9〉その人に。 「いいか、どうしたらいいか迷ったら、お前が無邪気にのびのびできる方を選ぶんだ。お天道様の下を堂々と歩けないようなことは、お前の性に合わないんだよ。お前は――」  浅田が一旦言葉を切り、大きく息を吸った。 「――お前は、太陽の子だ」  一言一言、大切に語られた。古の叡智を口伝するかのように。  太陽の子――。熱く、大きなエネルギーが、浅田の言葉に乗って押し寄せてくる。 「その男がいなくても、お前は幸せになれる」     
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