第二章 逆位置の〈太陽〉

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「……頑張れよ」  絞り出すように夏輝へエールを送った。  夏輝は腹の底から、力が湧き起こるのを感じていた。 「よし。じゃあ今日はここまでだ」  浅田がカードを集めた。カードにまとわりついた気をリセットするように、軽くカードをきる。浅田はそのまま箱にしまわず、カードの絵を順に見ていった。何かを探しているようだ。 「それ、何やってるんですか?」  んー? と言いながら、一枚のカードを引き出す。〈太陽〉のカードだ。 「俺の個人的な儀式。カードをしまうとき、何となくいい絵を一番上にしてるんだ。願掛けみたいなもんかな」  そういえば以前ホテルでカードを出したとき、一番上は〈審判〉のカードだった。古い友人に頼まれたと言っていたから、その人への願掛けで〈審判〉を選んだのだろう。 「〈悪魔〉や〈死神〉なんてのは、自分の心がけ次第で何とかできる。問題は〈塔〉だが、お前がちゃんと〈太陽〉正位置になれば、この〈塔〉も別のカードに差し替わるだろうよ。だから今回は〈太陽〉な。お前の運気がよくなるように」  何となく照れくさかったが、応援されてると思うと素直に嬉しい。 「ありがとうございます!」  浅田もつられたように笑みを浮かべた。 「……あのさ」     
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