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「……頑張れよ」
絞り出すように夏輝へエールを送った。
夏輝は腹の底から、力が湧き起こるのを感じていた。
「よし。じゃあ今日はここまでだ」
浅田がカードを集めた。カードにまとわりついた気をリセットするように、軽くカードをきる。浅田はそのまま箱にしまわず、カードの絵を順に見ていった。何かを探しているようだ。
「それ、何やってるんですか?」
んー? と言いながら、一枚のカードを引き出す。〈太陽〉のカードだ。
「俺の個人的な儀式。カードをしまうとき、何となくいい絵を一番上にしてるんだ。願掛けみたいなもんかな」
そういえば以前ホテルでカードを出したとき、一番上は〈審判〉のカードだった。古い友人に頼まれたと言っていたから、その人への願掛けで〈審判〉を選んだのだろう。
「〈悪魔〉や〈死神〉なんてのは、自分の心がけ次第で何とかできる。問題は〈塔〉だが、お前がちゃんと〈太陽〉正位置になれば、この〈塔〉も別のカードに差し替わるだろうよ。だから今回は〈太陽〉な。お前の運気がよくなるように」
何となく照れくさかったが、応援されてると思うと素直に嬉しい。
「ありがとうございます!」
浅田もつられたように笑みを浮かべた。
「……あのさ」
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