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「浅田さん、私やったよ」
空だけ見ていると、オフィス街にいる実感は希薄になった。浅田の畑で見た空と、同じに思えた。
ふと思いついて、ポケットからケータイを出す。仰向けのまま迷いなく画面を操作すると、耳に当てた。
『もしもし?』
「――あ、もしもし浅田さん? 坂井です。坂井夏輝です」
『おう、どうした』
真っ青な空に、白い小さな雲がのんびり流れてゆく。
「週末、またお手伝いに行ってもいいですか?」
雲よりもずっと高いところで、太陽が今日も明るい光を放っている。
「もっともっと、太陽の光を浴びたくなっちゃいました」
東城といたときはあんなに緊張した声だったのに。今はこんなにも明るく、自分らしい。
『おう、また腹いっぱい食っていけ』
浅田もまた、堂々として、浅田らしい声をしていた。
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