第二章 逆位置の〈太陽〉

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 浅田宅の庭に面した六畳ほどの和室。簾を通すほどの風は入ってこないが、南部鉄器の風鈴の音はかすかに届いた。  浅田の手には、タロットカードが入った箱がある。午前中畑の手伝いをし、また山盛りの昼食を作って食べ、今は浅田にタロットで見てもらうために座っている。 「――で、今日は何が知りたいんだ?」  今日来たのは、しっかりと歩き始めた今の自分を改めて見てほしかったから。……なのだが、 「浅田さんは、どうしてタロットをやるようになったんですか?」  不意にそんなことを言っていた。 「はあっ? お前それ今聞くかっ?」  この豪胆な浅田が、繊細さを要するであろうタロット占いに手を出すなんて、今さらながら不思議に思えた。 「やっぱりなにか悩み事があって……?」 「バカ言え。俺は悩みがあったら自分で解決する」 「じゃあ何で?」 「そりゃ、あれだ、つまり……」  かすかに浅田の頬が赤らんだのを見てしまって、夏輝はピンときた。 「あー! もしかして女性絡み!? 彼女さんの影響とか!?」 「『元』だよ『元』! 大昔の!」  どうやら当たりである。 「へー、浅田さんも彼女いたんですねー」 「だから『元』だっつってんだろ!」     
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