第二章 逆位置の〈太陽〉

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「その元カノさんがタロット好きだったんですか?」  ウキウキとニヤニヤがまざった顔で聞く。 「占いの料金が高くてバカらしくなるから俺に覚えろって言ってきたんだよ!」 「それでモノにしちゃうんだからすごい……っていうか浅田さんってやっぱりマジメ」 「うるせえなっ! ほら何占うのか早く言えっ」  はいはい、と言いつつまだ顔が笑ってしまう。 「ええと、私の今後の恋愛の流れと、いい恋愛をするためにどうしたらいいかを教えてほしいです」 「同じ内容を短期間に何回も占うのはダメだぞ」 「同じじゃないですよ。前回は特定の人との流れを見てもらいましたけど、今回はその人に限らず、ざっくりと見てほしいんです」 「それは、例の男とは終わったってことなんだな?」 「もちろんです! 未練はもうありません! アドバイスどおり、仕事だってバリバリやってます!」  どうだと言わんばかりに胸を張る。 「わかった。じゃあ始めるか」  カードの展開法は、前回と同じケルト十字。並べられた十枚のカードを眺めて、浅田が軽くうなずいた。 「正位置になったな」 「本当ですかっ?」  浅田の指が、縦一列に並んだ四枚のカードの、一番下で止まった。 「〈太陽〉の正位置。物事の取り組み方が自分らしくなったはずだ」     
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