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「そうそう、〈太陽〉のカードは裸の子供が描かれているが、その背後には大きな太陽があるだろ。無邪気な子供は、やがて成長して、人々を照らし輝く太陽になる。カードの絵を見ると、そういう意味も読み取れる」
へえ、とカードを手に取る。背景の太陽をじっくり眺めていると、あることに気づいた。
「この太陽の光線、二種類ありますけど。何か意味があるんですか?」
「お、よく気づいたな」
背景の太陽から放射線状に伸びる黄色い光線は、直線と、波のような曲線の二種類。
「直線は光、曲線は熱だろうな。太陽は光と熱でもって、周りを照らし、あたためるってことだ」
「そういう意味かあ。タロットっておもしろいですね。他のカードもじっくり見たら発見がありそう」
「――お前も、正しい方向へ力を発揮すれば、そのうち周りの人間を明るく照らして、あったかく包み込む太陽になるのかもな」
うっすら目を細めて、浅田が見つめていた。不覚にも、鼓動が高鳴った。
「やだ、いきなり壮大な話をするからびっくりしたじゃないですか」
「ま、一つの可能性だ」
くつくつと笑っている。
「浅田さんにも、自分を表すカードってあるんですか?」
夏輝に言われると浅田は腕組みし、天井を仰いだ。
「……ある」
「わー、何のカードですか?」
夏輝は好奇心に満ちた目を向けたが、浅田は天井に向けていた目を夏輝に下ろすと、
「教えない」
実に滑舌よく言い放った。
「ケチ!」
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