第二章 逆位置の〈太陽〉

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「現状にクロスするものに、逆位置の〈ワンドのクイーン〉……。〈ワンドのクイーン〉のようなこと、あるいは〈ワンドのクイーン〉のような人物が関わってくる」 「〈ワンドのクイーン〉ってどんな……?」 「大らかで、明るくて、天真爛漫で、性的な魅力もあって、簡単に言うとさっぱりしてわりとモテるタイプだ」 「あら、じゃあ私のことじゃないですか?」 「だといいけどな」  夏輝が口端を引きつらせて浅田をにらむ。 「だとしてもだ。だったら正位置で出るはずだ。逆位置ってことは『らしさ』が素直に出ていない、こじらせた〈ワンドのクイーン〉だ」 「じゃあ私違います。だって私今、すごくのびのびしてるもの」 「お前のことじゃない場合は、〈ワンドのクイーン〉のような人物が関わるってことだ。逆位置のな。……心当たりはあるか」 「うーん……、ない!」  陽気に答えたが、浅田は神妙な顔つきで見つめている。 「本当か?」 「本当ですよ。いや知り合いにそういう女性はいますけど」  玲子のことだ。しかし―― 「でもその人と三角関係にはなってませんから。すっごく仲よし!」  浅田の表情はまだ神妙なままだ。 「それに三角関係の原因って言ったら……誰でもない、私に決まってるじゃないですか」  自分で言って、ちょっと落ち込む。 「……じゃあ、次行くぞ」     
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