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「どうして迷ってんだ? なにか理由でもあるのか?」
「べつに……。単純に、その人は運命の人なのかなって思っただけです。だからさっき、人間関係や今後の私の運勢を見てもらってたんです」
浅田は胸の前で腕を組み、目を閉じて不服そうに低い声でうなった。
「あのな、タロット占いってのはお告げや当てものじゃないんだよ」
お告げじゃなければ何なのだ。
「それにぼんやりとした問いでは答えもぼんやりするんだよ。『漠然と』恋愛運が知りたいっていうならいいが、そうじゃないんだろう? 納得できずにハシゴするくらいなんだから」
さっき『占い街道』で見てもらったときは、仕事は集中すればまずまずだとか、同僚とはよい仕事仲間だとか、健康に恵まれるだとか、当たり障りのないことを言われた。……仕事運や今後の運勢を漠然と聞いたのだから、そういう回答が来るのももっともである。我ながら何をやっているのかと思う。
「同じクラスのケンちゃんの気持ちが知りたいのに、世界平和について聞いたって的外れなんだよ。わかるか?」
「ケンちゃんって誰」
「例えばの話だ」
「わかってますよ」
お互いにらむように視線をぶつける。火花が散る音が聞こえた気がした。
「じゃあ、私とその人との今後が知りたいです」
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