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あることを思い出して声を上げる。
「今度は何だ」
「何かしら」
二人が注目していることは無視して、夏輝はバッグからケータイを取り出した。
この状況って、あれじゃない? 先日撮影した、ケルト十字スプレッドの画像を呼び出す。
「夏輝ちゃん、ビール来たわよ」
玲子の形のいい白い手が、中ジョッキを夏輝の前に置く。
「あったーっ!」
夏輝はケータイの画面に顔を近づけた。ほらこれだ、〈カップの3〉。三人の女性が聖杯を掲げて楽しそうに……全然楽しくないぞ今。あそうか逆位置だったな。だから楽しくないのか。楽しい友達関係が不安定になるって浅田さん言ってたもんな。
「浅田さん、これ!」
腕を伸ばして画像を見せる。あんたのせいで楽しい飲み会が変な状況になったじゃないか!
「何だよこえーな。にらむな」
「怒った顔もかわいいわよ、夏輝ちゃん」
伸ばした腕を引っ込め、夏輝は二杯目のビールを口に運んだ。そのときふと、浅田の言葉が脳裏に蘇った。
――三角関係、とかな。
ぶはっとグラスの中でビールを吹く。
「きったねえな」
「あらあら大変」
夏輝は自分のバッグからポケットティッシュを出して、水滴がついたケータイを拭いた。
「夏輝ちゃん、まず顔を拭いて」
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