第三章 三つの聖杯といびつな宴

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 玲子が笑いながら、夏輝の口元を自分のハンカチで拭いてくれた。  玲子を見る。ああ、今日もいい女だこの人は。ただ顔がいいだけじゃないんだ。知性的だし、仕草がいちいち決まってるし、それに、やさしいんだ。今だってこうやって私の世話を焼いてくれて……。  もしもこの二人が、よりを戻すのだとしたら、私はきっと、邪魔になってしまう。 「えっ? どうしたの夏輝ちゃんっ」  夏輝の目からはらはらと涙がこぼれた。玲子が慌ててハンカチで涙を追う。  元々一人で行動していたから、今さら一人になってもべつにどうってことはないはずなのに。ダメだもう、玲子さんと親しくなってしまったから、今さらこの人を失ってまた一人に戻るなんて、それは、つらすぎる……。  ハンカチごと、両手で玲子の手をガシッとつかまえる。 「浅田さんのバカ!」 「は、俺?」 「こんな美人でセクシーで酒豪の玲子さんが彼女だなんて、うらやましすぎます!」 「『元』だ『元』! 酒豪は当たってるけど」 「夏輝ちゃんってばかわいいわねえ」  玲子も空いていた方の手で夏輝の手を包み込み、喜んでいる。 「ていうか完全に美女と野獣じゃないですか!」 「……どっちかっつうと玲子の方が野獣なんだがな」 「あら、人聞きの悪い」 「浅田さんエロい!」     
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