第三章 三つの聖杯といびつな宴

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「浅田さん、玲子さんのこと、まだ好きなんだね」  夏輝はシートのわきを探り、倒していた背もたれを起こした。 「……何でそうなる」 「前にホテルで占ってもらったとき、箱から出したカードの一番上、〈審判〉だった」  浅田はいつも、願掛けの意味でテーマとなるカードを上にして箱にしまうのだと言っていた。 「時々古い友人に頼まれて占ってるって言ってたでしょ。それ、玲子さんのことだよね」 ――また相談に乗ってくれる?  酔っぱらって途切れ途切れの記憶の中で、さっきの玲子の言葉をうっすら覚えている。 「私の前に占った人は玲子さんで、浅田さんは願掛けで〈審判〉を上にした。……玲子さんのことがまだ好きで、よりを戻したいからそうしたんでしょ?」 「その解釈は違うな。俺はべつに玲子とよりを戻したいわけじゃない」 「嘘だ」 「嘘じゃねえよ」 「でも玲子さんは? 何度も浅田さんと会ってるわけでしょ?」 「あいつはあいつでいろいろあって、だから占ってくれって言われる。通院患者みたいなものだ」 「いろいろって?」 「守秘義務」  そりゃそうだけど、と夏輝は唇を尖らせた。 「玲子さんが昔占ってもらって心をえぐられたっていうのは、浅田さんのことだったんだね」     
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