第三章 三つの聖杯といびつな宴

12/19
前へ
/156ページ
次へ
 弱みを握られたとも言っていた。夏輝の言葉に、浅田は否定も肯定もしない。 「わかった! じゃあ占って」 「何を」 「浅田さんと玲子さんの今後」  そしたら、二人の本音がわかるから。 「そんなもん占う必要はない」 「何で?」 「お互いの意志がしっかり定まっているからだ。俺と玲子はそれぞれ別の道を歩むと決めている。進む方向に対して迷いがなければ、それは占う必要なんてない。夏輝は占い師に相性がいいと言われれば、好きでもないやつと付き合うのか?」 「……人による」  あきれ顔で浅田がにらみつける。 「大体占いってのは自分を変えるためにやるんだ。何で俺たちのことをお前にのぞき見られなきゃならない。関係ないだろうが」 「な……っ」  浅田の言っていることはもっともなのだが、「俺たち」「関係ない」という言葉が、夏輝に疎外感を抱かせた。 「今のお前の状態も占わなくてもわかる。また〈太陽〉の逆位置になった」 「何言ってんですか。どこがですか。のびのびしてますよ」 「逆位置ってのはエネルギーのバランスを崩してる状態のことだ。この前のお前は、本来のよさが発揮されないエネルギー過少。でも今日のお前は、エネルギー過多」 「エネルギーが多くて何がダメなんですか」     
/156ページ

最初のコメントを投稿しよう!

14人が本棚に入れています
本棚に追加