第三章 三つの聖杯といびつな宴

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「バランスが取れてない。〈太陽〉の受け持つエネルギーが過剰で、悪い面が出てる」 「要するに?」 「ガキっぽい」 「はあっ? 失礼しちゃうんですけど!」 「人のことに首突っ込む前に、夏輝は自分のことをきっちりやれ」  そりゃそうだけど! ……あれ? 「浅田さん、いつから私のこと名前で呼ぶようになったんですか?」 「お前、本っ当、酒も大概にしろよ」  車の明かりが消えると、視界は真っ暗になった。山を背にした民家は夜の闇に覆われて、どこまでが山陰でどこからが家なのかわからない。ただ空だけは、無数の瞬く星を抱えて、かすかに地上を照らしていた。  車庫から出て玄関に近づいたとき、センサーライトが反応して庭が照らされた。玄関の引き戸も浮かび上がる。 「ちょっと待ってろ。カギ開けるから」  浅田は玄関からそれて、裏の勝手口のカギを開けに行った。しばらく待っていると、玄関の引き戸の内側で、つっかけに足を突っ込んだときの引きずる音と、ガチャッとカギの開く音が聞こえた。 「入れ」  顔を出した浅田に、夏輝は背を向けた。 「……私、ここでちょっと休みます」 「はあ? 何で」  いらだちが、まだ治まってはいなかった。 「……星がきれいだから!」     
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