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「バランスが取れてない。〈太陽〉の受け持つエネルギーが過剰で、悪い面が出てる」
「要するに?」
「ガキっぽい」
「はあっ? 失礼しちゃうんですけど!」
「人のことに首突っ込む前に、夏輝は自分のことをきっちりやれ」
そりゃそうだけど! ……あれ?
「浅田さん、いつから私のこと名前で呼ぶようになったんですか?」
「お前、本っ当、酒も大概にしろよ」
車の明かりが消えると、視界は真っ暗になった。山を背にした民家は夜の闇に覆われて、どこまでが山陰でどこからが家なのかわからない。ただ空だけは、無数の瞬く星を抱えて、かすかに地上を照らしていた。
車庫から出て玄関に近づいたとき、センサーライトが反応して庭が照らされた。玄関の引き戸も浮かび上がる。
「ちょっと待ってろ。カギ開けるから」
浅田は玄関からそれて、裏の勝手口のカギを開けに行った。しばらく待っていると、玄関の引き戸の内側で、つっかけに足を突っ込んだときの引きずる音と、ガチャッとカギの開く音が聞こえた。
「入れ」
顔を出した浅田に、夏輝は背を向けた。
「……私、ここでちょっと休みます」
「はあ? 何で」
いらだちが、まだ治まってはいなかった。
「……星がきれいだから!」
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