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数日後、夏輝のケータイが、玲子からのメッセージを着信した。
『この前はいろいろごめんね。金曜日に浅田と会うんだけど、また三人で飲まない?』
職場でそれを見ていた夏輝は、天井を見上げた。そこには星などあるはずもなく、蛍光灯の陰にホコリが見えるだけだった。
あの二人、また会うのか……。無意識にため息が出た。結構頻繁に会っている気がする。行きづらい気持ちがある一方で、二人の顔を見たいという気持ちもあった。でも――
「坂井さん、さっき話した飲み会の場所、社内メールで送っといたから」
隣の部署の、よく幹事を引き受ける男性社員が声をかけてきた。
「あ、はい。ありがとうございます」
――今回はタイミングが悪かった。夏輝は玲子への返信を、粛々と打ち始めた。
『ごめんなさい、その日は会社の飲み会に参加するので――』
夏輝の会社とは別の通りにあるオフィスビル。そこで仕事をしていた玲子は、着信したばかりのメッセージに目を通した。
「あら、金曜は会社の飲み会なのね……」
しばしこめかみに指を当て、夏輝の文面を見つめる。
「そうなの……」
こめかみに当てていた指を下ろし、玲子は返事を打った。
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