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俺が最後の覚悟を決めたのは、ちょうどその時だったのだ。
「10,000ドルだ。それで手付けにする。」
べロウは陽気に口笛を吹いた。
「この街の人間は本当にシンプルだ。信念や馴れ合いみたいなくだらないしがらみに囚われず、全てはキャッシュ次第。助かるよ。」
ボストンバッグをガサガサと漁り、ベロウは無造作に札束をカウンターに置いた。
「ニセ札なし、正真正銘の100ドル紙幣100枚だ。これで文句ないだろ?」
正直驚いた。麻薬シンジケートというのはなかなか儲かるらしい。
「さぁて、まずは昨日の会合について話してもらおうか。」
躾のなっていない子供の様な目をして、ベロウは俺が話し出すのを待ち構えた。俺はため息を無理やり飲み込みながら、昨日の記憶を再生した。
「中国南部で生産されている麻薬、フェンタニルの太平洋方面への輸出について、ドゥーショから三合会へ海上輸送の協力を申し出たらしい。それで昨日はその件に関しての細かい条件のすり合わせを行ったんだ。」
「GREAT!素晴らしい情報だ!」
もう、後には戻れない。
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