ケダモノたちに

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「てめぇのそういうところが気に食わねぇ!カステレードの娘の時もそうだ!てめぇは自分の背負うべき業も、ヒットマンという身分も忘れて、取り逃がすだけならまだしも、あまつさえ一緒に飛ぼうとしやがった!……こんなクソみたいな街に生まれて、息をするように罪を犯してきながら、今更罪滅ぼしのつもりかよ!」 「そんなんじゃねぇさ。」 「じゃあなんだってんだよ!」 「俺は、綺麗な空を拝んでいたかっただけなんだよ。……今の俺には、もうそれも出来やしない。せめて、チエーロには、世界にはもっと綺麗な空があるって、こんな幸せな景色があるんだって、知って欲しかったんだ。」 ガラハが手を離した。そして、意地汚く笑った。 「分不相応なマネをするとバチが当たるぜ。お前はそれを、結局自分の手でジャンヌを葬る羽目になったあの時に、気づいたはずだ。」 「ああ、そうだ。だから今回は、俺自身の意思で幕を引く。」 俺はガラハが置いた拳銃を、こめかみに当てた。 「お前、正気か?」 「この街に、正気な人間がいると思うか?」 ガラハは諦めたように、壁にもたれかかった。 「死にたきゃ好きにしろ。ただ一つ言っとくぞ。この街で生まれた人間は、キレイな人生なんざぁどう足掻いても送れねぇ。あのガキだって、お前が思ってるようには生きられねぇ。」 俺は笑った。笑ってみせた。 「それはどうかな。俺は、あいつに賭けたんだ。お前には一生分からないだろうがな。」 引き金に指を掛ける。 「俺の勝ちだ。」 銃声。 景色が傾く。 地面が近づく。 視界が紅く染まってゆく。 ケダモノを、俺は打ち倒したんだ。
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