ケダモノたちと

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ケダモノたちと

Bar「グリザイユ」。ここが俺の、今の仕事場だ。 といっても俺は「お客様に至高の一杯を」なんて殊勝な信念は持っちゃいない。なにせ俺はここに、死ぬまで切れない鎖で繋がれているだけなのだから。 だいたい、客にもマトモな奴はいない。この店の客、つまりはこの街に巣食う人間は、世界中につまはじきにされてここにやってきたような奴らばかりだ。どいつのスネも傷だらけ、というわけだ。 もっとも、それを咎める人間も、ここにはいない。 カラン、とドアベルが鳴った。 「よぉ、ヴェルデ。相変わらず辛気臭い顔してんな。」 「……ガラハか。」 「『ガラハさん』、な。『サー・ガラハ』でもいい。お前が組織にいた頃ならまだしも、今のお前と俺の関係は飼い犬とそのオーナーみたいなもんだ。最小限の敬意は払うんだな。」 囚人と看守の間違いだろ、と呟きそうになる。 「客商売をする人間がそんな仏頂面でどうする。お前にきっちり働いてもらわなきゃ俺が困るんだよ。よろしく頼むぜ、『マスター』。」
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