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そう下品に言うと、ガラハはどっかりとカウンター席に身を投げた。
「何の用だ。まだ営業時間にはなってねぇぞ。酒が飲みたいなら他当たれ。」
「ガッハッハッハッハ!」
ガラハが大口を開けて破顔する。
「この『明星街』で生きてきたくせして、まるで上海のホワイトカラーみたいなカテェこと言うのかよ!笑えるぜ!」
「冷やかしに来たなら帰れ。」
ダンッ!!!
カウンターを叩く音が、Bar全体を圧する。
ガラハの声が低く響く。
「おいおい、長生きしたかったらてめぇの立場くらい弁えた方がいいぜ。俺だって、古い知り合いであるお前をこの手で殺したくはねぇ。」
そう言って、ガラハは大げさにおどけた表情を作ってみせた。だがその目は、これまで反吐が出るほど見てきた、醜いケダモノのそれだった。
「俺だって、用もねぇのにこんな裏路地の奥にある店になんか来やしねぇよ。お前に依頼があって来たんだよ、『マスター』。」
依頼ではない。俺には条件について交渉する権利も、断る権利もない。
「明日の午後8時から、この店を貸し切らせてくれ。それも、ネズミ一匹入れねぇくらい厳重に人払いをしてな。」
「会合か?」
「あぁ、それも、相手は本国の三合会大幹部っつうとびきりのVIPだ。しっかりもてなして差し上げろよ。」
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