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「面白い話?」
「何でも、この街によそ者が出入りしてるんだって。」
「よそ者?観光客とかならしょっちゅう来るじゃないか。」
「違う違う。ギャングだよ、ギャング。」
「なんだと?」
この街『明星街』は、役所はあるにはあるがマトモに機能していない。代わりに、『リェン・ドゥーショ』と呼ばれる組織がこの街を取り仕切っていて、ガラハもその幹部である。
他でなら犯罪として咎められる行為も、この街じゃ道端に転がる空き缶と同じくらいありふれたものではあるが、この街も『リェン・ドゥーショ』によって無秩序なりに統制はとれている。それ故にその他の組織がこの街に介入してくるとなると、少々厄介なのだ。
「見ない顔の白人が5~6人、武器が買えるところを探してこそこそ動き回ってるんだって。ヴェルデ、なんか知ってる?」
白人である俺が言うのもなんだが、この街はアジア系の人々がほとんどで、白人はかなり少ない。
「いや、初耳だな。」
「そっか……面倒ごとになるかな?」
「いや?この街で白人は目立つ。じきにドゥーショの連中が嗅ぎつけるだろう。」
何事もないといいのだが。そう思っていると、チエーロは目を見開き、急いで買ってきたものを冷蔵庫にしまいだした。
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