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翌日、サシャを空港まで送った。
昨夜の事などなかったかのようにサシャは空港ではしゃぎながらお土産を買っていた。
そのサシャの姿を見ながら、ベンチに座っていた。
お土産物を手に取って私に手を振る。
私も小さく手を振り返した。
一通り買い物を終えると一緒にレストランに入り食事をした。
二人とも喉を通らずに、水で流し込む様にして最後の食事を食べた。
レストランを出ると、サシャが立ち止まり、頭を下げた。
「色々ト、アリガトウゴザイマシタ」
私は首を横に振る。
サシャは私の手を取って琥珀の玉を一つ乗せた。
「泣キタク無イカラ、ココデ別レマショウ」
仕方なくサシャの言葉に頷いた。
「ジャア、サヨナラ…」
サシャは床に置いたリュックサックを手に持ち、麦藁帽を被った。
お気に入りのワンピースとその汚れたリュックサックが不釣り合いだった。
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