ビューティフル

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彼女は自分の事を言われているかのように微笑み、またその琥珀の玉をカチカチと手の中で回した。 カリーニングラードは琥珀の産地だとサシャは教えてくれた。 サシャが持っている琥珀はサシャが幼い頃に両親がくれたモノらしく、どこに行く時も持って行くそうだ。 彼女は疲れたのか、ソファで眠ってしまった。 エアコンの効いた部屋は寒いかと思い、ソファに横たわる彼女にブランケットをかけて、隣の書斎に移りパソコンを開いた。 ジャーナリストとしての仕事はここ数年やっていなかった。 それでも癖で色々と原稿を書く事はやめていない。 「何ヲシテイルノデスカ…」 サシャが私の後ろに立ってパソコンの画面を覗き込む様に見る。 「難シイ字ガイッパイデス」 サシャは眉を寄せた。 そして机の上に置いてあったデジカメを手に取った。 「見テモイイデスカ」 そう訊かれ頷く。 サシャは子供の様に微笑むとそのライカの電源を入れて、写真を見た。 そこには空と雲を写した写真が並んでいた。 「空バカリデスネ…。空ガ好キデスカ」 サシャは私が撮った空の写真をじっと見つめている。 「ああ、空、好きなんだ…。空だけは世界中何処にいても同じだから…」 私のいう事を理解したかどうかはわからないが、サシャは微笑んでいた。
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