蒼天葬送曲

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「強い風が吹いてね、花びらが舞うの。その花びらが空に吸い込まれるようになってるのが好きなの。」 空か。ここからは、空も見えないし、風も感じないからね。 「いつかきっと、あなたにその景色を見せてあげる。」 結局、その景色を見るどころか、春になる前に彼女は死んでしまった。 僕は一人取り残されてここに佇んでいる。 不意に扉が空いて、男の声が入って来た。 「ここが…あの娘の……なんですか?」 声がくぐもっていて聞きにくい。続いて、声の主が入ってきた。 若い男性だ。二十代程だろうか。チェックの シャツを羽織り、ジーンズを履いている。誰だアイツは。 「ありがとうございます。ここで少し一人にさせて下さい。」 ドアが閉まり、アイツと僕だけになった。 アイツが僕に歩み寄って言う。 「君があの娘の大切な仲間なんだね。」 仲間じゃない。それより上だ。少なくとも僕は……僕はそう思っていた。 「………僕は、あの娘が好きだった。」 あの娘…何だって?彼女が好きだった?そんなことは認めないぞ。彼女は僕に 「あなたがいるから、私は頑張れる。」 って言って笑ってくれたんだぞ。
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