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臓器提供のための人工生命体を研究している研究所
そこが、私の家だった。
両親は共に研究者で、私も当たり前のようにその背中を追っていた。
研究所は、人間の遺伝子をベースに、遺伝子改良を進め、提供に最適な状態で成長が止まるような、人工のヒトを生み出すことに、成功した。
そして、その生命体に、心が存在するのか、調査するのが私たち家族が所属するセクション。
この研究室に所属している研究員は、それぞれ担当の生命体と生活を共にして、研究を進めていく。
だけど、それは行き着く先が決まっている期限付きの生活だ。
研究対象とはいえ、大事な臓器提供元である彼らは、ドナーのオファーがあれば、臓器を提供し、提供することが決まっている臓器以外の臓器や各器官も、研究のために抜き取られ、その生命活動を停止させるという選択肢以外用意されていないのだ。
だから、感情を移してはいけない。
それは、研究に携わる私たち全員の共通認識だった。
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