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「眠っている間に、終わるよ」
抱き締めた温もりを離さないまま、小さく溢した。
最期に、彼はペアリングを渡した。
これは、形見だ。
いつだったか、それを身につけて晴れた川原を散歩した。
空に手をかざして、「キレイだね」って、笑いあった。
しっかり受け取り、涙を流す。
おでこを合わせて、最後の温もりに笑い合う。
「愛しているよ」と。
ここで、私の幸せは終わる。
彼と私の時間が終わる。
彼の命は、終わる。
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