第1章 始まり

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腹は満たせてないが、早速さっき拾ったスマホを手に取り電源を入れる。 (あれ?充電がないのか?) かといって充電するケーブルはない。 そもそも電気が通ってないので充電はできないのだ。 (なら、無理じゃん) 要は決めた。 (使えないのなら、金に変えよう) リサイクルショップに行くために、立ち上がろうとした時。 「ちょっと!待ったぁぁーーー!」 要は疑問に思った、おかしいこの部屋は独り暮らしだ。 なので誰かの声が聞こえて来るとしたら、新聞の勧誘ぐらいのものだ。 「誰だ!新聞ならいつもいらないと…」 辺りを見回しても誰もいない。 おかしい… 「ちょっとー、聞いてんのー!」 誰もいないのに… 「聞こえてんだろ、コラーー!」 声が聞こえる… 「お願いです、気づいてください…」 急に声が小さくなりボソボソとしたから聞こえてくる声のする方へ向いてみると。 「やっと見てくれましたね」 そこには電源も付かず、真っ暗だった液晶に明かりが灯り。 今は1人の女の子が映し出されている。 髪は赤髪のツインテール、高校の制服に軍隊の装飾を煌びやかに着けた衣装。 足元はカツカツと音がしそうな程のハイヒール、 高貴な印象を与える身だしなみである。 だが今はガックリとうなだれているので、 全く感じない。 「どうもこんにちは!先ほど拾っていただいたスマホの、ミリエーヌと申します。気軽にミリーと呼んでください。先程は危ないところを助けていただきありがとうございます。」 「はぁー、ミリエーヌさんね」 「ミリーで結構ですよ?」 「ミリエーヌって ちょっとマドレーn」 「ミリーで…結構…ですのよ?」 先程までの丁寧な言葉遣いに厳かなお辞儀をしていた人とは思えないほど、沸点超えそうな雰囲気。 さすがの要も空気を呼んだ。 「では改めてですが、助けていただきありがとうございます。私は自律型AIミリエーヌと申します。以後お見知りおきを。」 (お見知り置きをって…久々に聞いたな) 「なので何か恩返しをさせていただきたいのですが、困ってることや、叶えて欲しい願いはありますか?」 (まさか、これは!) (鶴恩キター!どうしようなにお願いしちゃおうかなー?ATMを使えるようにもして欲しいし、塩水作るときの水も欲しいしな~! 迷うわ~!) あまりにも極貧生活が続き、欲求レベルも下がってしまっている。
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